連作「パサージュ」

passage1チラシ
ブログをはじめてみました。
現在、ドイツの思想家、ヴァルターベンヤミンを扱った演劇作品を準備している。
これは、連作で「パサージュ1」「パサージュ2」「展覧会ベケット/パサージュ3」というもの。
それぞれ本年11月京都・12月大阪、来年10・11月京都/東京での上演を予定しています。
これらはいずれも私一人で演技をするものです。

「複製技術の演劇」という主題で、制作中。
「パサージュ1」では、映像に映る俳優が主体で、その映像の人物(ベンヤミン)が架空の自己(ベンヤミン)を想定し、それは実演・生で演じられるというもの。
演劇の本質は、俳優にあるのであれば、俳優のアウラ(オーラ)が複製可能であれば、演劇それ自体も複製できるであろうという仮説を実践してみる。

「パサージュ2」ではやなぎみわさんがプロデュースする鉄道芸術祭vol.2「駅の劇場」での参加作品。
京阪なにわ橋の駅に、アートエリアb1というスペースがあり、そこにプラットフォーム型の舞台ができている。その中での上演を予定。
ここでは、「気配」と「声」が俳優となる。駅に行き交う人々の断片的会話・思念。それらが、雑踏の中に、浮かんでは消えていく。聞こえてくる声、音声以前の声、存在以前の声。「声」にまつわる空間は、劇場以前の劇場を浮かび上がらせるはず。

「展覧会ベケット/パサージュ3」では、ベケットの後期の先鋭的短編を4つ程とりあげ、それを、映像・音声・写真・物で制作し、展示する。劇構造そのものを物質化し、ベケット演劇そのものに迫ってみる。展覧形式での上演であるため、美術館で鑑賞する如く、観客の出入りは自由。ある時間にのみ、ベンヤミンが登場し、ベケット作品と時空をこえて邂逅する。

演劇作品・理論・証言・とりとめのない言葉をパサージュ(通過)するベンヤミンというのが、この一連の連作の試み。
2012年 10月 18日