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あごうさとし演劇公演「純粋言語を巡る物語-バベルの塔1-」5月29日ゲネプロ参加者募集!

◆日時
 5月29日(木) 19:00~20:20頃を予定

◆開催場所
京都芸術センター 1F フリースペース

◆募集人数
先着10名

◆ご参加内容
・ゲネプロの観劇(受付も含め45分程度)
・観劇後の演出家による聞き取り参加(30分程度)

◆参加費
無料
※会場までの交通費は自己負担になります。
※ご観劇後、WEB上に各自で感想などをUPして頂くよう御願い致します。

◆応募締切
2014年5月28日(水)19:00

◆応募方法
「件名」欄に、”ゲネプロ参加”とご記入頂き、ご氏名、年齢、メール、電話番号および、ブログのアドレス、またはFacebook、Twitter等のIDを下記メールにてお知らせ下さい。
※電話番号は当日の緊急連絡先(携帯電話等)をご記入ください。
※未就学児のご参加はご遠慮下さい。
※ご応募はブログ、Facebook、Twitterなどをお持ちの方に限らせていただきます。
※ご参加確定のお知らせは、5月26日(月)までにメールでお送りします。

■ご応募メールはこちらから>>

新作「純粋言語を巡る物語ーバベルの塔1ー」について

今回の新作は人工生命学者O氏の物語です。劇場に建てられる塔はO氏の研究塔であり、人生の象徴でもあります。O氏は老いた老女です。彼女にはもう先はありません。ただ彼女はもう一度人生をやり直したいと強く願っています。O氏に別の人生の可能性があったのか、観客を塔の建設作業員にみたて、塔の内外を巡る中で物語に参加頂く趣向です。そうして作業員が語る幽かな言葉がO氏の可能性を造形します。O氏の別の可能性をあたえる作業員はあるいは悪魔メフィストなのかもしれません。
入場料は500円で1日券ですから何度でもご入場いただけます。
以下は今公演で考えていることをツラツラと綴ります。

連作パサージュに続くあらたな試みです。
「パサージュ3」では無人劇というのを実践いたしました。ここで得た鑑賞者の存在が”劇空間を立ち上げる”という成果を踏まえて、もう一歩鑑賞者が物語りに深く関わることをやってみようというものです。
演劇は言葉と身体の芸術といってよいかと思うのですが、通常それは確定された戯曲と俳優という特殊な身体を用いて表現されます。
「複製技術の演劇」という主題を保ちながら、演劇に取り組むときには、言語と身体という重要な要素にある変化が求められます。
身体については、俳優ではなく「鑑賞者」が想定されます。このことはパサージュでも試みられたことです。
さてもう一つの要素としては言語があります。
純粋言語とは、バベルの塔以前の言語あるいは神と対話のできる言語です。
純粋言語そのものを再現することは不可能ですが、純粋言語を想定しそこを志向することや、そこから拡散することを志向することは可能です。
オリジナルの言語である「純粋言語」から派生し、翻訳され複製(?)された言語が日本語であるならば、演劇の本質的要素である言語というものが複製性を帯びていると考えて見たくなります。
複製性を帯びた言語と身体性これを別の言い方をすれば、交換可能な言語と身体性という要素でもって劇空間を作るということです。
交換可能な言語というのは、実践としては確定された言語でない劇空間ということです。物語が複数用意されていて、その物語は一人につき一つしか把握できないが、時間と場所は共有しているという状況であることと、もう一つは、その場で言語が生み出されて物語を幽かでも生産するという状況であることです。
確定的な言語を共有しないという状況が、まさにタイトルにあるバベル(混乱)という意味につながっていきます。
なぜそのようなややこしいことをするのかといいますと、一つは演劇の複製可能性についての可視化という私のテーマでもありますし、一つは、メッセージやグルーヴといった劇場全体をつつむ熱・カタルシスを回避するための異化効果以外の手法をみつけたいという試みです。
例えばファシズムに対する批判を観劇した全員が、感動し納得するような強烈なグルーヴが生まれたとして、素晴らしい演劇となるのかもしれませんが、全体性への批判という事に対しては強烈な矛盾を孕むことになります。
じゃあ、どうすればいいかとなると、個々人がより物理的に個々人の物語として捉えることができ、なおかつ時間と場を共有し、隔たりのある関係性からそれぞれに劇的興奮をえられるような仕掛けを考えるということになろうと思います。システムとして個人主義的でありながら、時空を共有するという劇空間です。
バベルの塔という、統一性と混乱の磁場は、この劇空間を実践するのに絶好のモチーフだと考えました。
そこで、より具体的にどういう仕掛けかといいますと、ま、それは、是非ご覧頂きたいところです。一遍に全てをかなえることはできませんが、これも連作を通じてひとつずつ要素を具体化していく試みです。

皆様のご来場を心よりお待ちしております。