アトリエ劇研ディレクター就任のご挨拶

 この度、前任の田辺剛さんの後を引き継ぎ、アトリエ劇研ディレクターに就任いたしました。つきましては今後一層劇場発展に精励致す所存でございますので倍旧のご支援とご厚誼を賜りますようお願い申し上げます。
 今年アトリエ劇研は、アートスペース無門館開館より数えて、丁度30周年をむかえます。弊館は多くの若い表現者達の登竜門として、長くその役割を果たして参りました。しかしながら、この数年間の京都の舞台芸術の環境は、大きな変化をとげつつあります。「オルタナティブ・スペース」での上演が盛んな昨今、「ブラックボックス」という劇場形式が果たして現在でも有効な空間であるのか、劇場を預かる者として、今改めて思考していかなくてはなりません。若い表現者達の登竜門という劇場の持つ伝統的な役割を担いつつ、「ブラックボックス」が生み出す新たな表現を、演出家という立場のみならず、劇場ディレクターという立場からも探求を重ねて参りたいと存じます。

 劇場の運営にあたりましては、最初に3つの課題に取り組んで参りたいと考えます。
1、劇場費の改訂と新たなアーティストサポート体制の確立。
2、シーズンラインアップの確立。
3、他劇場・他分野との共同による作品制作と環境整備。

 365日開かれた劇場を目指し、まずは表題だけをご呈示して、就任のご挨拶とさせて頂きます。今後、様々な形で劇場からメッセージを打ち出して参ります。慣れぬことばかりで恐縮ではございますが、皆様のご指導ご鞭撻を賜りますよう重ねてお願い申し上げます。

アトリエ劇研ディレクター あごうさとし